水溶性ビタミンC誘導体の特徴と欠点と種類
ビタミンCをリン酸と結合させることで、肌への吸収率を高めたものが水溶性ビタミンC誘導体です。
水溶性ビタミンC誘導体の特徴
短期間で吸収されるため、即効性が高いことです。
水溶性なので、さらっとした使用感です。
これにより、化粧水や美容液などローションタイプの化粧品に配合されることが多いです。
にきびや毛穴トラブルなど、皮脂コントロールに適しています。
表皮で作用するため、メラニンの排出と肌のターンオーバーを促進します。
水溶性ビタミンC誘導体の欠点
- 即効性は高いものの、持続性は短い。
- 高濃度で使用すると、刺激を感じたり乾燥することがある。
- 紫外線に弱い。
- 高濃度タイプは要冷蔵が必要な場合がある(高濃度にすると変質・劣化が進みやすい)
- 肌の奥(真皮)まで浸透しない
水溶性ビタミンC誘導体の種類
リン酸アスコルビルMg(APM、アスコルビルリン酸Mg)
アスコルビン酸PMは、高純度の安定化ビタミンC誘導体です。 化粧品用途/医薬部外品( 有効成分:美白 )または医薬部外品( 添加剤 )としてご使用いただけます。
引用元: 昭和電工 (http://www.sdk.co.jp/products/43/58/1145.html)
短時間で皮膚(角質層まで)に吸収されるので即効性が高いビタミンC誘導体です。
皮膚内に含まれるホスファターゼ*1という酵素によって、速やかにビタミンCとリン酸マグネシウムに分解されて、ビタミンCを肌に取り込むことができます。
臨床での効果報告では、ニキビ跡の赤みや色素沈着、窪み、皮脂分泌の抑制、コラーゲンの生成の促進などの効果が確認されており、
水溶性のビタミンC誘導体では最も効果があるとされています。
ホスファターゼ
(*1)ホスファターゼは皮膚に比較的多く含まれる酵素なので、ビタミンCへの分解が進みやすいと考えられますが、やはり酵素の量は人によって違うので、どこまでビタミンCを取り込め、効果が出るのかは人それぞれになります。
リン酸アスコルビルNa(APS、アスコルビルリン酸Na)
リン酸アスコルビルMg同様、ホスファターゼによって、ビタミンCとリン酸ナトリウムに分解されます。 リン酸アスコルビルMgより低コストで、溶かしやすいので院内処方に適していて、主に皮膚科医で使われています。 ただし、リン酸アスコルビルMgに比べると多少刺激を感じるケースがあるようです。
アスコルビル酸グルコシド (AG、アスコルビルグルコシド)
ビタミンCに糖を結合させたもので、グルコシターゼという酵素によって、ビタミンCと糖を分解します。 ビタミンC誘導体の中では最も安定して常温で長期保存ができることから、安定型ビタミンC誘導体とも呼ばれます。
美白化粧品によく配合されている
刺激性も低く、配合しやすいことなどから、美白化粧水などに使われていることが多いです。
欠点
自然界にも存在する型であり、糖との結合なので安全性に問題はないものの、人の皮膚にはグルコシターゼがほとんどないらしく、 ビタミンCに変換できずに排出されてしまうので、ビタミンCの効果はあまり期待できないようです。
アスコルビル酸エチル(ビタミンCエチル、3-O-エチルアスコルビン酸、VCエチル)
他のビタミンC誘導体と全く異なる特性は、酵素反応を必要としないことで、皮膚内で即ビタミンCとして作用します。
即効性があり、効果の持続性もある
即効性があると共に、水溶性ビタミンC誘導体の弱点であった持続性についても、72時間程度といった持続性があります。
分子レベルでのアスコルビル酸の比率が高く、他の水溶性ビタミンC誘導体と同じ濃度で配合した場合は、最もアスコルビン酸分子の量が多くなります。
アスコルビル酸エチル自身の安定性が高いので、他の水溶性ビタミンC誘導体に比べて長期の保存が可能です。
医薬部外品認定成分
同様に高い安定性のために、水溶剤だけでなく油性の溶剤への配合も可能で、より浸透性を高めることが可能です。 厚生労働省認可の医薬部外品有効成分として、美白効果があります。
参考
日本精化株式会社
http://www.nipponseika-cosme.com/products/productdetail.html